大阪都構想に反対します。「二重行政の無駄」と言うのはウソやで。大阪のテレビは言わへんけど。

 大阪の民放テレビは、ほとんど全部が「維新寄り」ですね。維新が吉本を使うてるので、逆らうわけにはいかんのでしょうね。番組ができんようになりますからね。そんなわけでネットでは「イソジン吉村」なんて書かれていても、吉村知事の人気は高いようです。何も考えてへんおばちゃんにとっては「吉村さん、頑張ってはるやん」というイメージですね。

 「大阪都構想」の住民投票が11月にも実施されそうな勢いです。私は大阪都構想には反対です。大阪が発展してほしいというのは当たり前やけど、それはホンマに大阪市を解体せんと、でけへんことなんか?という一点だけでも、何の答えもありません。そしていつも言われるのが「二重行政の解消」ですね。

 大阪ではとうとう、大阪府大と大阪市大が統合されて行きます。それぞれがちゃんと特色を持って長い歴史を刻んで来ていたのを、乱暴にも一緒にしてしまうわけです。知事と市長が一緒になったらこんな乱暴なこともできるんですね。

 そしたら雑誌『表現者クライテリオン』の9月号に、松嶋三夫さんという人が<「二重行政の無駄」という罪悪>という記事を書いてはりました。この松嶋さんは大阪市住之江区医師会前会長で、今も眼科クリニックを経営してはる、現役のお医者さんですね。

 自治体は営利事業ではない。公共の分野を守るための、不採算部門を許容する度量が必要である。

と書き出してはります。そして

病院・保健所の存続に市場原理主義・営利主義を持ち込み、「医療や公衆衛生は税金の無駄遣いである」「市立病院への税金投入の費用対効果・根拠が見られない」「二重行政の無駄」として橋下徹氏は目先の価値観だけでリストラしたが、新型コロナ肺炎流行により、このリストラの弊害が大きく露見され、近視眼的見方で断じた「二重行政の無駄」の過ちが、白日の下に晒け出された。

 厳しい書き方ですが、この話はチラホラ聞こえてはいるけれど、維新に媚びるテレビ、新聞はあんまり報道しませんね。そして松嶋さんはこの維新の横暴を、次々と批判してはります。

 2018年3月末、「大阪市立住吉市民病院」が廃院されたんですが、その理由は、約2キロ東に「大阪府立急性期・総合医療センター」があるから、ということでした。公立病院が直線2キロ以内にあるのは二重行政の無駄、というわけです。ところがこの住吉市民病院は実は、小児科と産婦人科だけの特異な病院やったわけです。

 少子化のあおりで、近年は小児科や産科がめっちゃ減っていて、経営が厳しいんやそうです。せやから一般病院は次々と撤退してる中でこそ、公的病院が最後の受け皿となって頑張っていた面もあった、ということですね。

 いきなりの廃院で非難ごうごうとなり、跡地に民間病院を誘致する、とか言うてたのにどこも来ず、結局、2キロ隣の大阪府立急性期・総合医療センターと統合することになったけれど、その予算も最初は30億円と言うてたのが、実は60億円かかってしもた、とか、もう不明朗な話がいっぱいあったようです。しかもそういう決定がなされた時の議事録は、公開要求にも応じてくれへんそうです。

 無理やりに廃院にしたもんやから、今回の武漢コロナ対応用の、大阪市としての病床にも使えたはずの100床が無駄になったんやそうです。

 もう一つ、大阪のテレビが言わへん有名な話があります。橋下くんが知事、市長の時から「医療や公衆衛生は税金の無駄」と言うて、保健所をめっちゃ減らしてしもたんですね。大阪府では1990年に53か所あった保健所は、2019年には18か所と、三分の一に減少していました、と。いやあ、今回の武漢コロナ、めっちゃヤバい話やったんや。保健所の現場の人たちの苦労がしのばれますね。

 「二重行政の無駄」というウソについてはまだあります。大阪では大阪「市」立環境科学研究所(環科研)と大阪「府」立公衆衛生研究所(公衛研)があり、従来「府と市で究極の住み分け」ができていると評価されていたものも、強引に合併した上で、何と独立行政法人化してしもた、ということやそうです。

独法化は、突然の緊急事態発生時に府市から直に研究資金援助が受けられず、緊急対応が遅れる以外に、独法化による慢性的な予算不足で、優れた技師・指導者の確保や人材育成も困難となり、環科研・公衛研の本来の職責が果たせなくなった。

 うわあ、維新は基本的に緊縮財政で、民営化推進ですね。地方自治に緊縮、民営化の考えを入れたらめっちゃヤバいと思いますね。松嶋さんは危惧してはります。

府市の首長を維新が独占すると「政策運営に歯止めが効かず、将来の展開を想定しないまま、一気に物事を決する危険性を孕んでいる」ことが明らかになった。

 実はもう、大阪府と市は10年ほど、維新の首長になってるわけで、今はやりたい放題なわけですね。そしてそれに歯止めがかからん状態になっている、と。大阪で「感染症病床」がなかなか増やされへんのは、そういう事情もあるんやということです。もう全然あかんやんか。

 感染症病床は、大阪府では1993年に300床あったんが、2018年には78床まで減ってるそうです。他の府県では、感染症病床は公的病院が担い、国都道府県が税金を投入して維持してきたけれど、大阪府では全部の府立病院を独法化してしもたので、経営が苦しくて、増床がでけへんかった、ということやそうです。

 唯一残った大阪市立の十三市民病院が、何とか現場の人たちの踏ん張りで乗り切ってくれてるようですが、ホンマに綱渡りの状態がずっと続いてるわけですね。

 地方自治、地方行政というのは本来、そこが現場なわけで、地道なすり合わせやら合意形成やら、こまめな協議が必要になって来るもんですね。そんなん、めんどくさいわ、大阪市を廃止したら、うるさい市議会もなくせるし、府(都?)に一元化して大阪市の財源も取り込んで、一気にやってしまえ、というのが、「都構想」の本質やと私は思います。私は都構想に反対します。

【訂正(8/21)】大阪府大は堺市にありました。「どちらも大阪市内にあった大学で、」を削除しました。

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ナニワの激オコおばちゃん

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