去年の自民党総裁選はめっちゃ盛り上がりましたし、その時に、岸田くんは「令和の所得倍増」を目指すと、確かに言いましたよね。ところがその後の就任直後の所信表明演説でも、先の総選挙でも、その「公約」は封印されてしもたわけですね。
ウソつくなや岸田くん、と言うておきましょう。もう何もかもがグダグダに見える岸田政権に、今さら期待はしてませんが、どうも岸田くんは経済のことも、あんまりようわかってへんかったんやろなあ、と思いました。何をやったら一番怒られへんか、だけで行動を決めてるからですね(笑)。
「所得倍増」というのは、それこそ宏池会の大先輩、池田隼人元首相が始めた政策で、結果的には目標を前倒しする形で実現されたわけですね。もちろん、日本全体が「高度経済成長」したからとも言えますが、今、延々と四半世紀以上の間、デフレ下にある日本で「所得倍増」を言い始めたことに、私は喝采を送りました。
岸田くんがこれを言い出したのは、昔から仲の良かった原丈人(はらじょうじ)さんをブレーンに入れてるからやと知りました。私はこの人が言う「公益資本主義」には共感を持っていたので、やっと流れが変わるんか、と大いに期待したもんでした。
ところが総理大臣になるや、それを言わんようになったことを批判する記事が、去年の11月には早くも出ていました(「所得倍増」がわずか1%の賃上げに、岸田首相の軽すぎる公約)。この記事の中の、さらに引用の形で次のように書かれています。
「私が掲げる令和版『所得倍増計画』の主役は民間企業です。企業に成長の果実を賃上げ等でしっかり回してもらう。また、サプライチェーンの中で、中小零細企業にも適切に分配されることを目指します。そうしたことを達成するために、大きな仕組みを構築したいと考えています」
9月8日配信のダイヤモンド・オンラインのインタビュー記事『岸田文雄氏に聞く「所得倍増計画」の全貌、分配でアベノミクスを“進化”』で、岸田氏はこのように計画実現に向けた戦略を披露している。
えっ?主役は民間企業?分配?ええーっ、違うやろ、ですね。やっぱりわかってへんわ。原丈人さんにちゃんと聞きなさいよ、というわけかどうか、昨日(3/6)の産経新聞に原丈人さんが「総理は令和の所得倍増を実現するか」という記事を寄稿してはりました。
会社は社会の公器、株主だけのものではない
日本国民が貧しくなった原因が構造改革、規制改革、民営化などの新自由主義政策であることは今さら、言うまでもない。
これ、どう考えても竹中平蔵さんとバッティングするやんか(笑)。原さんは、この30年で実質賃金は大きく下がり、国民は貧しくなった、と書いてはります。そして。
では、いま論ずべき本質とは何か。それは「会社は株主のものだ」という「株主資本主義」そのものとの決別、つまり「新しい資本主義」の推進である。
私はそんな大上段に、新たな資本主義の定義なんかを決め直さんでも、さっさと政策を進めて欲しいと思うんですが、原さんは「公益資本主義」の考え方を説明した後に、こう書いてはります。
具体的に言えば、政府の財政支出で、全国各地にやるべき仕事をつくること。まず、国民生活を守るためにすぐに必要な防災インフラと医療インフラ、劣化した堤防、トンネル、橋梁、鉄道交通インフラ整備などに大規模な政府支出をする。公的固定資本形成の充実である。毎年10兆円として最初の5年で50兆円は必要だろう。
財源は新たな国債発行でよい。具体的には、30年満期の個人向け公益国債とし、金利はつけないが、額面金額を相続税免除とする。免除が必要ない購入者には、変動金利をつけ政策金利とともに変動させる。日本の個人金融資産は2000兆円あり、個人向け公益国債は国民を豊かにする国債として人気の投資対象となるだろう。政府の借金は増えるが、購入した国民にとっては資産となるため、将来の負担にはならない。他にも国民を豊かにできる手立てはいくつもある。
うわあ、めちゃめちゃ正しいことをズバズバ書いてはりますね。国債について「政府の借金は増えるが、購入した国民にとっては資産となるため、将来の負担にはならない」なんて、あはは、財務省は嫌がるやろうなあ。最後の締めもコピペしときましょう。
岸田首相にはいま政府の「新しい資本主義実現会議」に加え、木原誠二官房副長官の下に「所得倍増実現のための制度改革会議」を作り、その実現を加速されることを進言したい。総理が決断実行すれば、国民に支持され長期政権となる。
あはは、あかんて、原さん、キッシーは決断がでけへんし、優柔不断で不誠実、怒られへんことだけを考えてるから、財務省を説得するなんて、できるわけあらへん。
そもそも、総裁選用に「所得倍増」を言うた一方で、やる意味のない「プライマリーバランス黒字化」のために直轄組織「財政健全化推進本部」を作ってるこのチグハグさ。やっぱり経済のことをわかってへんと思われますね。
まあ「一縷の望み」として、昔から仲良しやったと思われる原丈人さんが、岸田くんをグイグイ引っ張ってくれることを祈りましょう。世界はこれから大不況に突入する可能性が高いんや。ホンマにしっかり舵取りしてくださいよ、岸田内閣総理大臣!
【文中リンク先URL】
https://diamond.jp/articles/-/289036
https://www.sankei.com/article/20220304-OYHJTNQ62NMDLJAU2XF326NPVM/?980682
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コメント
NIKKEI225、今年最安値
岸田首相は、資本主義に突撃するドン・キホーテか
別に資本主義にする必要はない。日本型資本市議にすればいい。日本の会社を守ればいい。
もうすでに負けてしまっています。
国産にこだわったシャープは売られ、家電でのしているアイリスオーヤマは外国企業、お値段以上ニトリも。
もっとの成功した経済モデルが太陽光発電。
これには仕掛けがあって国民に高い値段で強制的に買わせるようになっている。
コストプッシュインフレ、日本人が貧しくなる政策を一貫して進めているのが日本政府です。
呆れたことにこれの応援団が左翼系とみられ学者たち。
もっと改革しろと迫る。
エージェントになるしか生き残れないのが学者の世界かもしれません。
激おこさんも守備範囲が広いですね~。
原丈人さん素晴らしい人ですよね!
緊縮財政が新自由主義、拝金株主資本主義を生み出す土壌だと良く解ってる人。
「公益資本主義」は、積極財政で如何なる資本主義を目指すべきかを示した道標。
保守を標榜する産経が新自由主義批判の原さんを載せるのも良い傾向。
しかし原丈人さんの公益資本主義を評価しながら、財政破綻論から抜け切れず財政出動できない岸田政権も与党も情けない。
こんな事だから逆ブレして「人新生の資本論」とかいう共産主義かぶれが流行って資本主義までが否定されちゃう。
パンデミック、ウクライナ危機で原油や食糧、資源関連のコストアップインフレも在るんだから、
安全保障費増大、トリガー条項発動、消費税廃止、公的資本形成(インフラ整備)、内需拡大回帰(自給自足)
等々、やらねば為らぬ事、目白押しなんですけどね。
220308-2
ソロです。
>>公益資本主義
初耳ですが、面白そうなですな、文字通りの意味なら資本主義の基本の自由競争をベースに、その勝者が稼いだ金を世の四苦「=病貧争災」の解消の為に使うと言うなら、人類が目指して来た「皆が幸せになる世の実現」を目指していると言う事ですから、その具体案を窺いたい。
共産主義の元になった社会主義かて、コンセプトは同じですが共産主義は、19世紀迄の君主の質によって結果が大きく左右されるから、明らかに間違いの専制主義を完全に悪と決めつけた癖に、その統治における権威主義は踏襲したので単なる階級闘争に堕した。
之に対し日本の統治の仕方は、威力分離「=権威と権力の王を分けた」事、つまり、世の栄枯盛衰の影響を受け易い権力の王「=大君」を、祭祀王「=皇尊(スメラミコト)」が、任命する統治システムを7世紀の天武帝から始めた。
鎌倉時代迄の400年は、天皇家を取り囲む公家集団の専横が続いたが、武家の平氏の台頭を機に、威力分離が顕在化して南北朝で天皇家の巻き返しがあったが、権威を支える土台が不在では具体的な政治が出来ない
事が分かった。
だが、このシステムが国民に支持されたから、800年も後の明治維新の際に、為政者であった武家が、天皇家に大政を奉還出来て日本は革命無しに、伝統を維持したまま近代化の潮流に乗れたのですね。
だから、本来、多民族国家の筈の日本民族が強大な外敵を前にして、本来農漁民や町民の民衆まで戦士として駆り出されても、与えらええた自分の職責を果たさんと命を捨てて国を、民族の未来を護れたのです。
日本と戦った欧米列強は、この国民性が理解できず、彼ら流に「宗教のせい「=太陽信仰の所為」だと決めつけて、原因は祭祀王である天皇家にあると、天皇家の血筋を絶やす事で日本を改造を企てたのですね。
我々日本人は、日本の安寧と弥栄を日々親神に祈って下さる天皇陛下がいればこそ、大難を小難に、小難を無難にしてくださっていると、理解しております。そして、文字通り国民統合の象徴としての存在意義をおもちです。
私はこのシステムこそ世界一成功した統治システムであると思いますから、公益資本主義なるものがこのシステムに順応出来るものであること願って止みません。