「費府の飛行士」の部屋9

中間選挙の結果如何に拘らずトランプを縛ることはできず帝国の悪夢
 アメリカの中間選挙では日本でもアメリカでも民主党が下院を抑えるのはもう決まり、上院も民主党が多数となるだろうと言う人が多いように見えます。実際にはどうなるかは開票しなければ分かりませんが、万が一民主党が勝利してもトランプ政権による帝国システムからの離脱、過去一世紀に亘る帝国システムはイランを含め崩壊の始まりになるのではと見ていますが、それを裏付ける見方が丁寧になされている動画を見つけました。議会勢力は上院も下院も共和党が多数派を形成しているように見えますが2025年にトランプが大統領に返り咲いて以来、民主党は兎も角共和党もトランプの思い通りには動いていません。不正選挙を防止する為の法案(SAVE Act)は下院では可決したものの上院の共和党トップが妨害して法案が成立していません。共和党内に名ばかり共和党員がいまだに多数いるからです。ですから2025年1月に就任して以来トランプは殆ど議会の助けなしで政策を実行してきました。
 その意味では仮に民主党が多数派となってもトランプが困ることは少ないかもしれません。
    https://www.youtube.com/watch?v=3GoHxsK1ACY
  プロメシアンアクション:スーザン・コキンダ(敬称略)10月24日
 グローバリストには今二つの懸念がある。一つは中間選挙でのトランプの勝利、もう一つはトランプの中間選挙での敗北だ。
  10月15日英帝国の外交政策の代弁者であるチャタムハウスはトランプ大統領が中間選挙の結果如何に拘らず粛々と外交政策を進め国際社会の分断を進めかねないと警告した。だがこの政権は中間選挙の結果を待つつもりはなさそうだ。ウクライナとスターリンクに関する物議に対するルビオ長官の反応:
  ルビオ:「我々は最早この件について防戦一方になるつもりはない」
1 帝国の外交政策の桎梏からの解放
  ルビオが言っていることはウクライナに限らない。チャタムハウスが進めてきた地政学的分断政策の反対側のことを言っている。つまり、トランプ政権は帝国の外交政策の枠組みを大胆に逸脱しており、それを止める術はないと言うことだ。
  チャタムハウスのアンドリュー・ペイン博士は上述の懸念を持っており、選挙がいかにして大統領を統制すべきかと言う本(War on the Ballot)を執筆した。彼の描くシステムは簡単だ。投票者が大統領を投票で罰すれば大統領は彼らの敷いた路線に戻る、と言うものだ。過去1世紀に渡りこの手綱は効果的だった。その仕組みは三つの柱による手綱からできていた。(1)チャタムハウス、CFRのようなシンクタンク(2)報道機関(3)議会、の三つの柱で構成されていた。この三本の柱全てが一つの教義を強制してきた。
  ハルフォード・マッキンダーの教義だ:世界を支配するにはロシアを孤立させ、大国同士を争わせ続けると言うものだ。これまで全ての大統領がそれに仕えてきた。だが今回はそうはいかない。それでチャタムハウスはアメリカ議会に手を伸ばし、アメリカの議員多数が選挙戦の重要な時期であるにも拘らずロンドンのチャタムハウスに忠誠を誓う為に参上した。
  ルビオ:「長い間人々が崇拝してきたグローバルオーダーや国連を我が国の上に置くのではなくアメリカの国益を優先すると言うことだ」
  これこそグローバリストやイギリスのシステムの原則とアメリカ式原則との戦いだ。
2 ヤルタ(会談)のパニック
  トランプとロシアとのディーゼル取引は英米の外交政策エリート達全体をパニックに陥れた。そしてトランプ、プーチン、習近平による首脳会談の噂が出た。WSJの論説委員全体がそれに警戒心を示した。世界を分割する新たな三頭政治は信頼できる同盟国としての米国の国際的信用を吹き飛ばす、と言っている。
  しかし、本当に吹き飛ぶのはアメリカの信用ではなくその特別な関係だ。ヤルタ体制以降の地政学的世界も崩壊するだろう。それは核兵器の存在と狂気じみた相互確証破壊の教義により、アメリカ、ロシア、中国を永久的に対立させ続ける仕組みが吹き飛ぶのだ。トランプの発言に注目。(三者会談に合意したかと聞かれ)
  トランプ:「否。だができればやりたい。核兵器や非核化について話し合いたい。三者会談をやるとしたら非核化をベースにして会談をスケジュールする。これは世界にとりとても前向きな良い話だ」
  ルビオがトランプを支持したことは、アメリカが最早帝国的システムの手綱に縛られない決意を示したと言える。
  ルビオ:「人々は少し大人になる必要がある。世界で最も多くの核兵器を持った三大国のリーダーがコミュニケーションを持つことが異常なことだとは思わない。もし大統領がそう望むのであれば三国の首脳が軍備管理のような問題につき話し合うことは世界にとり非常に前向きなことだ」
  そのような会談があるとしたらいつか?(全てに三者が出席予定)
  11月16〜18日:ASEAN サミット、フィリピンのマニラ。11月18、19日:APEC サミット、中国の深圳。12月14、15日:G20サミット、アメリカが主催、マイアミのナショナルドラルで開催トランプはプーチンを招待。3者出席予定だが三者会談の開催は未定。
  これこそが大統領が外交権を行使する方法であり、WSJの論説委員会が懸念する点だ。「議会や裁判所は大統領の外交政策を阻止することはできない。だが政治的な代償を払わせることはできる」(10月20日)。それは政治的代償を恐れる大統領には効き目があるかもしれないが、アメリカを救う為にはそれを気にしない大統領には効き目がない。トランプは議会の助けなしに数多の外交政策を実現してきたからだ。しかもそれは外交政策に限らない。彼は議会の助けなしにその他の政策も実現してきた。
3 トランプには彼らの許可は必要ない
  一件を除けば、彼がアメリカの経済主権を再建する為に行ってきた政策の全ては彼が既に持っている大統領権限により実行されてきた。今週ベッセント長官に投げかけられた関税質問への回答をみよう。
  インタビュアー:「もし民主党が下院を支配したら民主党はあなたが実現しようと思っていることの何を阻止できますか?」
  ベッセント:「殆ど何もできないだろう。民主党主導の公聴会を見ればわかるように彼らはシグナルよりもノイズばかりを出すだけだ。我々には通商法301条及び232条に基づく非常に強力な関税権限がある。」
  更には国防生産法もある。10月22日には大統領は石油精製を国防に不可欠なものと宣言し国内の製油所を再稼働させる為にエネルギー省に最大1億5000万ドルを拠出した。過去2週間だけでも戦争省、農務省、輸出入銀行がアメリカの制約、電力、製造工場に対して総額40億ドル近くを投じた。
  更に大きいのは外国からの投資だ。ホワイトハウスの集計によるとトランプの首脳外交により総額11兆3000億ドルもの投資確約がなされた。米国の再工業化と言う観点から見ればその累積的な影響は驚異的だ。私は大統領が今月初めに選挙活動を開始して以来発表された新たな製造業イニシアチブを追跡しており、これがその全体像だ(10:52の図参照)
これがアメリカ式システムだ。帝国の桎梏、手綱から外れ米国の原則に基づき戦い、帝国のプラグマティズムと言う罠に陥ることのない大統領によって実行されるアメリカ式システムなのだ。
  もし民主党が勝利したとしても彼らは公聴会を開き召喚状を発行し、ロンドンへ飛びチャタムハウスを安心させることはできるだろう。しかし関税は維持され、製油所は建設され、投資は流れ込み続けるだろう。そして首脳会談も進展していくだろう。チャタムハウスはこれを「束縛からの解放と」呼んでいる。彼らの言うとおりだ。